漫画書評 その六 【ismMAX】

書店お勧めの漫画を紹介

「棺担ぎのクロ。懐中旅話~カイチュウタビノワ~」
1~2巻 / きゆづきさとこ / 芳文社 / 各819円

最初に手に取った時今まであった4コマの概念を覆されました。内カラーページが綺麗だし、1コマ1コマ丁寧で背景もしっかり描かれていて、4コマだけどその形式に拘っていないので気にせず普通のストーリーマンガのように読むことができます。    
ストーリーは、黒い魔女の魔法によって姿を変えられたクロ(黒づくめだから)とセン(喋る蝙)が、魔女を捜す旅の道中でニジュク・サンジュ(実験体の双 子)や色々な人々と出会いつつ・・・しかしクロにはタイムリミットが迫っているらしい、という少し切ない雰囲気になっています。
TVアニメ化された『GA芸術科アートデザインクラス』に押されてはいますがこちらも良い作品です。

(文:小林まなみさん 2010.12月)

「DOGS BULLETS&CARNAGE」
1~5巻 / 三輪士郎 / 集英社 / 590~600円

アクション好きな人にお薦め。        
地下組織の実験体として甲型特殊兵装脊髄ケルベロスを埋め込まれたハイネ。地下を探っていた兄を殺されその真相を追うバドー。両親を失い胸の傷とともに記 憶を無くしながらも仇を捜し続けるナオト。バドーと知り合ったことで貧乏くじを引いた様にしか見えない、方向音痴な元殺し屋ミハイ。4人の狗達が地下に巣 くう組織の陰謀に否応無しに巻き込まれていく・・・。もう一番の魅力は三輪士郎の画、これに尽きます!この絵イケる、と思った人は一気読みすべし!ただし 作者は遅筆で有名だそうですので⑥は気長に待ってください。

(文:小林まなみさん 2010.12月)

「ワールドエンブリオ」
1~7巻 / 森山大輔 / 少年画報社 / 各562円

電波に乗って人に寄生し「棺主」になったものと、それと相対する力を持った刃旗使いの闘いを描くストーリーです。 過去の事件によってウソをついて 現実を生きる主人公天海陸が、棺主との争いに巻き込まれた時マユから生まれたネーネに助けられる。大切な人にそっくりなその子を護ろうとするものの、陸自身が棺主化してしまうことから彼の運命は大きく動き始めることになります。誰かを護ろうとすることで違う誰かを傷つけてしまう・・・人間らしいドラマがあります。

(文:小林美香さん 2010.12月)



「ONE PIECE」
1~59巻 / 尾田栄一郎 / 集英社

小さな村から一人の少年がこれから起こる出来事に期待を膨らませながら船に乗り大海原へ旅立った。
主人公の少年の名はルフィ、夢は海賊王になること・・・その決意はとても固かった。行く先々で家族以上の絆で結ばれるであろう仲間を増やしていくが変わり者ばかりが集まっていく。
剣豪、シェフ、音楽家、医者、考古学者など海賊とはかけ離れた者達ばかりだ。
主人公を含めそんな仲間達の過去はとても悲しく、目の前で大事な人が撃たれ亡くなったり故郷が襲われ帰る場所を無くしさ迷う日々を送ったり仲間に裏切られ一人ぼっちになってしまったりと、辛いものだった。
しかし、その過去も受け止め後ろを振り向かずただ前だけを向いてそれぞれの夢に向かっていく姿は現代人には無い姿だ。
血の繋がっていない初めて出会ったその日から何故、こんなにも相手を思いやれるのか不思議でしょうがない。
私は、今まで漫画を読んでいてこんなに感情移入したことは無いくらいこの漫画は熱く、作者の思いが伝わってくる。
一度読んだらそこから抜け出せなくなるくらい病み付きになるコミックと言えるでしょう!

(2010.12月)

「少女少年学級団」
1~6巻 / 藤村真理 / 集英社

「メジャーリーガーになりたい!!」
小学校に通う野球が大好きな女の子、遥(はるか)の夢遥が転校してきたクラスは男女の仲が悪く、分裂していた。
そんな中、転校しても野球を続けたい遥は、野球クラブに入団。
そこには同じクラスの渡(わたる)とその友達一寛(かずひろ)が居た。
渡と遥はお互い頑固で活発な性格なため、喧嘩をしたら殴り合いに発展する日も・・・。これではいけないと思った遥の母親は、遥を連れ渡の家へ謝りに行くが、ドアの向こうから出てきたのは高校に通う渡の兄、健(けん)だった。
高校生の健は、とても優しく誠実で甲子園に行った経験もあることから野球クラブの子たちからも慕われるお兄さん的な存在だ。
それを知った遥は健に憧れと尊敬の気持ちを抱く。
野球を通して健との仲を深めていく遥は、憧れの気持ちから次第に淡い恋心を抱き始める。
小学生ではよく起こりうる、些細なことからイジメがはじまったり自分の発言が自然と相手を傷つけていることを知りどうすればいいか悩んだり、人を好きになるとは何なのか何故苦しいのか考えたりと、何かと波乱が耐えない日々が続く。
この先、遥たちはどう成長していくのか気になるとこだ。
また、子どもの心情がわかりやすく描いてあるので子どもとの向き合い方も考えながら家族で読んで欲しい。

(2010.12月)

「おひとり様物語」
1~2巻 / 谷川史子 / 講談社刊 / 各667円

色んな立場のおひとり様な女性(彼氏有りも)の様々な心模様を追った1話完結のお話です。叶えたい夢を持っていたり、自分らしく生きたいと思っていたり、でも少し自信を無くしてしまったり・・・そんなおひとり様には是非読んで頂きたい。谷川さんにしか描けない可愛い可愛い女性たちが、一生懸命に頑張って生きてその胸に自分なりの確かな想いを灯すのを見るとき、共感すると同時に気持ちを優しくポジティブにしてくれる。とってもいい作品です。

(文:小林まなみさん 2010.11月)



「となりの怪物くん」
1~5巻 / ろびこ / 講談社刊 / 各419円

家庭の事情により成績を何よりも一番に考える主人公、水谷雫と人としての考えや接し方が一般と異なる問題児、吉田春の青春ラブストーリーです。(多 分)みんなが主役・・・と書いてあるだけあっていいキャラ揃ってます!モテるが故に孤独だった夏目さんの切ない恋だったり、天の邪鬼なヤマケンのもどかし い片思いだったり、春をいじめてばかりのお兄さんもいたり、みんな表情が可愛いし話もテンポよく進んでいくので読みやすくて◎。切なくて、でも面白くて、 青春って感じです。

(文:小林まなみさん 2011.11月)

「flat(フラット)」
1~4巻 / 青桐ナツ / マッグカーデン / 571円

とてもマイペースな高校生平助と保育園に通う忍耐強い男の子秋の平穏な日々が描かれています。
普段あまり感情を表に出さない秋に対して、人に興味が湧かない平助はどう接していけばいいのか悩み、一方の秋も自分が思っていることをどうすれば上手く平助に伝わるのかを考えます。
そうして、お互い探りあいながらも次第に理解し距離を縮めていきます。
一緒に居たいと思える存在になっていくのが読者側にもヒシヒシと伝わってきます。
お留守番や学校の休み時間授業中、趣味に没頭しているときなど、誰にでもある日常の中で人と関わりながら最も大切な「助け合う」ということを感じることができます。
文句を言いながらも平助と秋に向き合おうとしてくれる登場人物たちもそれぞれの思いを抱えながら他人と向き合うことで気持ちを伝えること、受け止めることの大切さを感じていきます。
そんな不器用ながらも優しい人に囲まれながらさらにこの先、平助と秋はどう向き合っていくのか注目して欲しいです。
読んでいて心温まるピュアなお話です。
人と接するのが少し苦手な方、日々忙しいあなたに是非読んで欲しいコミックです。

(文:小林美香さん 2010.11月)

「BANANA FISH」
吉田秋生

舞台は1985年NY暗黒街。謎のキーワード『BANANA FISH』を巡る、ストリートキッズとコルシカマフィア達の壮絶な闘いを描く。
主人公アッシュは17歳にして並居る不良たちのボスであり、またIQ200という類稀ない頭脳の持ち主。
そんな孤独な天才アッシュと、平凡で温和な日本人の少年・英二が出会ったとき、運命の歯車は回り始める。
少女漫画界に革命を起こした濃密且つ壮大な戦闘シーンと、同時進行で描かれてゆく2人の少年の眩しいほどの友情に目頭が熱くなる、
ハードロマン長編の傑作。一生に一読の価値有。

(文:佐久間さん 2010.10月)



「巴がゆく!」
田村由美

極道の血を継ぐ少女・巴が巨悪を働く財閥を相手に闘う、こちらもハードロマンの超大作。
巴は勝気で身体能力も高く、闘う時は非常に冷静且つスマートでありながら、その実泣き虫で怖がりな「普通の少女」である。
そんな彼女を愛したのは、巴のかつての恋人でありグリーンベレー出身ながら後に巨悪に手を貸す伝説の男・上総と、財閥の隠し子にして眉目秀麗、夜の顔と昼の顔を使い分ける謎多き男・伊織の2人である。
壮絶な闘いの合間に繰り広げられる、身を裂かれるような恋愛模様に身を投じてはいかがだろうか。
後に小学館漫画賞を受賞した「BASARA」も、この作品を描かなければ生まれなかったと言っても過言では無いだろう。

(文:佐久間さん 2010.10月)

「ポーの一族」
萩尾望都

「ぼくがどんなに孤独か、きみにはわかるまい」───。
ひっそりと外界から閉ざされたバラの咲く村、通称「ポーの村」。
そこは血とバラのエッセンスを吸いながら永遠に生き続ける『バンパネラ一族』の村だった。
愛する人間をひとり、またひとり一族に加えながら、バンパネラの兄妹エドガーとメリーベルは永遠の時を生きてゆく。
物悲しく切ない彼らの、果てしなく美しい物語に芯まで酔いしれる。巨匠・萩尾望都の初期作品の傑作。
これを読まずして、少女漫画を語ることなかれ。

(文:佐久間さん 2010.10月)

「シュトヘル」
1~3巻 / 伊藤悠 / 小学館刊 / 各619円

13世紀初頭、西夏王朝時代の西夏文字を軸に、運命的な出会いを果たした悪霊(シュトヘル)と呼ばれる女戦士と皇子ユルール、そして動く時代の流れを描いた物語です。
加えて現代に生きる主人公、須藤の意識が交錯し彼の生きる物語にも繋がっていきます。前作『皇国の守護者』と同様に構図や表情や描き方が素晴らしくて、世界に引き込まれずにはいられない。
先の展開が非常に楽しみです。

(文:小林さん 2010.9月)



「Landreaall」
1~16巻 / おがきちか / 一迅社刊 / 各579円

アトルニア王国エカリープ領公子DX・ルッカフォートと、彼の家族や友人たちにまつわる万華鏡のようなファンタジーです。
作者の雑学知識や物語等の裏設定が豊富でそれを程よい感じに抜き出した巧さがあり、アクションもあれば静かな駆け引きもあってすごく楽しめます。
ファンタジーではありますが、どちらかと言えばひとクセもふたクセもある登場人物たちの掛け合いが面白い!またそれを引き立てる画がとても魅力的です。
ぜひご一読を。

(文:小林さん 2010.9月)

「3月のライオン」
1~4巻 / 羽海野チカ / 白泉社刊 / 各510円

言わずと知れた『ハチミツとクローバー』の羽海野さんが描く主人公、桐山零と将棋を軸にした物語です。
生きるために生きている人間の、それが故の叫び、想い、決意、願い。
色々なものがこれでもか!というくらい詰め込まれています。力強い線ではないけれど真正面から胸にガツンガツンとくるギャップ。
でもその根底にある優しい世界を確かに感じられるのは羽海野ワールド共通です。
登場する人皆にそれぞれの人生があって、不器用に、不器用でも生きていこうとする姿は痛々しいけれどいとおしく感じます。
彼らがこれからどんな旅路を辿るのか、どんな物語を紡いでいくのか、たくさんの人に読んでほしい作品です。

(文:小林さん 2010.9月)

「アンダー ザ ローズ」
船戸明里(ふなとあかり) / 幻冬舎

時は19世紀。数々の激しく、時に切なく悲しい愛の物語。
その全ては英国、ロウランド伯爵家で繰り広げられる。
華やかな貴族の生活の裏側には壮絶な人間模様があり、その根底にはそれぞれの真っ直ぐな愛の形があった。
作者の比類なき画力と圧倒的な構成力は、漫画を生業にする者ならば嫉妬する程である。
現代版ヴィクトリアンコミックの傑作。

(文:佐久間さん 2010.8月)



「ワンダフルライフ?」
ケイケイ / 講談社

20代後半独身、小太り、安アパートに一人暮、会社でも特に重要な役回りではなく、彼氏いない歴2年、数打ちゃ当たると合コンに精を出すも、長所を聞かれると返答に困る。
そんな万年ダイエッターOL・矢野美保子の赤裸々で痛烈でどこかたのもしい笑劇オムニバスコミック。
「あるある!」と思うか、「そこまでじゃない」と思うかは貴女次第。
どこから読んでも大丈夫!

(文:佐久間さん 2010.8月)

「虫と歌」
市川春子 / 講談社

月間アフタヌーンにて掲載され大反響を呼んだ、鬼才・市川春子の作品を収録した短編集。
自らの「指先から生まれた妹」への自己愛にも似た感情に翻弄される少年の心の動きを描いた「星の恋人」、飛行機事故で生存した少年少女が助け合い、やがて訪れる不思議で切ない別れを描いた「ヴァイオライト」、故障した肩を抱え一人夏を過ごす野球少年と、そこへ現れた「ヒナ」との心の交流と成長を描いた「日下兄妹」、3人で暮らす兄弟の元へやってきた闇色の「弟」を中心に、「人の形をした昆虫」タチの甘く幸せで切ない日々を描いた「虫と花」の4点。
どれも全体に流れる淡々とした空気感の中、そのコミカルさがラストの切なさを一層際立たせていて秀逸。
想像力を目一杯膨らませて読んで欲しい。

(文:佐久間さん 2010.8月)